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世界が震撼!原発ショック 悠長な初動が呼んだ危機的事態 国主導で進む東電解体への序章


DIAMOND Online 2011/03/16日号

 


『ダイヤモンド・オンライン』2011/03/25日号のClose-Up Enterprise 【第49回】の記事です。以下全面転載。

東京電力の福島第1原子力発電所で起きた事故は峠を越える手前にまできた。原発は一民間企業の負うリスクを超えたものだと明らかになった。それでも東電はすぐにはつぶれない。あまりに悠長な体質がもたらした初動ミスが東電解体への序章となるだろう。(「週刊ダイヤモンド」編集部 片田江康男、小島健志、柴田むつみ)

ある政府関係者は東京電力の対応に怒りをあらわにする。

福島第一原子力発電所

福島第1原子力発電所は東京電力初の原発で“聖地”ともいえる場所だっただけに、無残な姿が原子力関係者に与えるショックは大きい Photo:REUTERS/AFLO


「(3月14日に)2号機の燃料棒が露出したとき、東電側は『全員撤退したい』と伝えてきた。撤退したら終わりだった。絶対に止めなければならなかった」

あの時点で撤退とは無責任極まりない。この政府関係者は、事故の初動から東電の対応に不信感を抱いていた。

地震発生時の11日、福島第1原子力発電所1~3号機は自動的に止まったものの、津波により外部の設備が使えなくなった。予備の電源も失われ原子炉内を冷やすシステムも動かなくなった。炉内を冷やさなければ、燃料棒が溶け深刻な事態を招く。東電はまず電源を復旧しようと電源車を送った。しかしそれをつなぐ部分が水没しており結果的に失敗した。

そのうちに1号機では炉内の熱で水蒸気が発生し、圧力が高まっていった。破裂しないうちに放射性物質を含む水蒸気ごと逃がし、圧力を下げる必要があった。これをベント(排気)という。「ベントをやらなければならなかったが、本店は非常に消極的」(政府関係者)という状況だった。

福島第1原発の現場責任者は、吉田昌郎・執行役員発電所長である。その陣頭指揮は光っていたようだ。「吉田所長は勇敢で現実的だった」と政府関係者は言う。「しかし、本店を経由してしか現地に連絡できなかった。だから12日朝、菅直人総理がヘリで現地に飛び『ベントしろ』と言った。吉田所長の背中を押しに行ったんだ」(政府関係者)。

はたして12日午後、ベントが行われたものの、格納容器内で発生した水素が建屋に漏れ、水素爆発が起こった。14日には3号機でも水素爆発が起き、安定的だった2号機でも炉心の水位が下がり、燃料棒が露出して空炊きという非常に危険な事態となった。水を入れる必要があった。

 冒頭の「全員撤退」という話が飛び込んできたのは、そのときである。政府側はあわてた。

 政府側が現地に連絡すると、吉田所長らが懸命に注水作業をしているところだった。そして、「水が入った」と言っているのに東電はいっこうに発表しない。

「とにかく、本店と現地に温度差があった。そもそも予備電源が切れたときの想定がなくて驚愕した。最初から自衛隊でも警察でも使えと言っていたのに、本店はあまりにも悠長だった」と、政府関係者は言う。

 プラントメーカーの東芝首脳も唇をかむ。

「最も原発を知っている技術者たち専門家集団は地震直後からスタンバイしていた。東電の本店の廊下にもいた。しかし部屋に入れてもらえなかった。東電とメーカー、官邸が仲間になれたのは地震発生の3日後だった。もっと早く手を打てたはずだ」

 それに対して、東電の武藤栄副社長は「全員撤退については言っていない。プラントや通信の状況が悪いなかで、ともかく人身の安全が重要だという判断で、プラントの保守や保安に必要な人間だけを現場に残し、それ以外の人を一時的に避難させた」と言う。初動についても「状況を見ながら適切に判断してきた。最大限の努力はした」と話す。

福島第1原発3号機への放水

福島第1原発3号機では3月18日に自衛隊が放水を行った。使用済み核燃料プールの水位が下がり、放射性物質の拡散が心配されたからだが、現場判断が奏功したようだ Photo:REUTERS/AFLO


 いずれにせよ、当初は東電内で事をすませようとしたことは間違いないようだ。政府は15日朝、東電と一体となって危機対応に当たるべく統合対策本部を設置した。

 事態を好転させたのも本店ではなく現地の英断だった。18日にはプラントの電源を復旧させるため、送電線から回路を引き下ろす作業が行われた。そのさなか、自衛隊によって3号機の原子炉内を冷やすための放水作業も続いた。

 東電関係者は興奮気味に語る。

「放水作業のなか電線工事をすることは作業員の安全を確保できるものではなかった。何が起こるかわからないからだ。本店と現地は何時間も議論した。本店は『自衛隊の放水は止めてもらえ』とまでなった。だが吉田所長が『やる』と判断した」

 ぎりぎりの選択だったが、この工事は成功。現場でも本店でも拍手が起きた。「本店がいろいろと言っても吉田所長は『評論家はいらない』と取り合わなかった。彼がいなければ現場も本店もパニックだったろう」(東電関係者)。

 本稿執筆の22日時点、電線の工事は進みプラントに電源がつながった。電源の復旧は原子炉を制御するうえで大きな意味を持つ。

 現在も、詳細は下図に示すように予断を許さない。放射性物質をまき散らしており、健康被害や農作物、水産物への影響も計り知れない。だが、状況が改善に向かっているのは確かだ。

各炉の状態

それでもすぐつぶれない
経営が直面する難題

 国内のみならず、世界を恐怖に陥れている福島第1原発事故。その張本人である東電の今後については、「事後処理に莫大なカネがかかる。さすがにつぶれてしまうのではないか」と思う読者が多いだろう。だがじつはそう簡単にはつぶれない。東電の“懐”は、五つの点で無事なのだ。

 まず増資で得た資金だ。東電は昨秋、29年ぶりの大規模公募増資を行い、約4500億円を得ている。本来は海外投資など成長分野に投じる資金だったが、今回の事故の対策費に充てざるをえない。

 次に巨額な引当金だ。原発関連を単純に積み上げると、解体費用など約2兆円の引き当てがすでにすんでいる。福島第1原発だけで案分しても約7000億円分あるのだ。もちろん、再処理や新潟県中越沖地震の復旧費など「直接は関係しない」(東電広報部)というが、用途の変更ができれば使うことができるだろう。

 さらに原子力損害賠償制度もある。日本原子力産業協会によると、津波や地震の場合、1発電所1200億円までは政府から賠償金が支払われる。すでに政府に補償契約料を支払っているためだ。それ以上になっても政府が必要と認めれば「援助」がある。今回の震災が「異常に巨大な天災地変の場合」となれば話は変わる。なんらかの「政府の措置」がなされる可能性がある。

 そして最後は“伝家の宝刀”を抜けばよい。電気料金の値上げである。国の許認可が必要なものの電力会社が社会に必要とされる以上、値上げは不可避となるだろう。いずれにせよ収支の帳尻を電気料金で合わせることができる。

 メガバンクなども総額約2兆円の緊急融資を計画。メガバンク関係者は「名前は変わってもつぶれはしない」とみる。まさしく“焼け太り”である。

 しかし、今後1年間という短期で見た場合、キャッシュフローの点では大きく二つの難題がある。

 1点目が電力の供給だ。現状は約3800万キロワットの供給能力に対して、東電の藤本孝副社長は「なんとか夏までに5000万キロワットの供給力を確保したい」と述べる。夏は冷房により需要が約6000万キロワットまで増える。冬も暖房により約5000万キロワットは見込まれ、綱渡りの状況が続く。

 なぜならば、電力はためることができない。「同時同量」といって、最も需要の高まる時間に合わせて供給力を上げなければならない。ガスタービンの新設や他の発電所からの電力購入、燃料の調達など、費用を度外視してなりふり構わず供給力を高めなくてはならない。

清水正孝・東電社長会見

13日夜、会見した清水正孝・東電社長(左)は「これまでの想定を超える津波だった」と話した Photo:JIJI


 オール電化営業もストップした。東電の島田保之執行役員営業部長は「節電と計画停電をお願いしているなか、進められる状況ではない」と言う。計画停電か節電か、はたまたサマータイム導入など制度変更かといった、国民を巻き込んだ停電への備えをしていくことになる。電気料収入は少なくとも2割程度は減るだろう。

 2点目は原発への対策だ。福島第1原発の1~4号機は海水が入っており廃炉は免れない。むろん、7~8号機の新設計画は白紙とならざるをえない。20年ぶりに着工した東通原発の建設も凍結。柏崎刈羽原発への津波対策も急務となる。

 収支も悪化する。東電は柏崎刈羽原発で1基110万キロワット分が稼働したら、燃料費等を抑えられ、月に約90億円の収支改善に至るとしている(2011年3月期第3四半期決算)。この前提を踏まえ福島第1、第2原発の910万キロワット分が単純に停止し続けると考えると、月に約750億円の収支悪化につながっていく。「金の卵を生む鶏の首を自ら絞めた」(他電力の原子力関係者)というとおり、原発はキャッシュの源泉だったのだ。

一民間企業の限界を露呈
不可避の電力体制の再編

 これだけではすまない。すでに東電解体、電力再編へと波紋を広げる一石は投じられている。

 今回の事故から原発のリスクは一民間企業で負えないことが証明された。東電が内向きに解決しようとして初動が遅れたことからも、今後は政府の関与を強める声が当然上がってくる。そもそも、世界的に見ても政府の関与を直接的に受けずに民間が原発を稼働している国はまれだ。

 今、原発は発電電力量の約3割を占める。これを止めれば、ほとんどの地域で計画停電が必要となる。原子力資料情報室の伴英幸共同代表は「現実的に原子力がやめられないのなら国が責任を持ってやればよい」と話す。核のゴミである使用済み核燃料の廃棄等も民間で負えるリスクを超えている。東電が手に負えないものを地方電力会社が負担できるわけがない。原子力部門の分離、国営化が現実味を帯びてくるだろう。

 また今回、東日本の周波数は50ヘルツで西日本は60ヘルツと、東西の電力が融通できないことが広く国民に知られるようになった。

 現在東西の電力は計100万キロワット分しか融通できない。これは「送電線を両方から引っ張る必要のある周波数変換所よりも発電所を建てたほうが経済的」(藤本副社長)というからだが、実際は電力会社が相互に乗り入れ競争することをいやがっていた節もある。

 だが、一橋大学大学院の橘川武郎教授が「周波数の問題は電力会社間の競争を生み、自由化を促すことになる」と指摘するように今後大きな問題となりそうだ。変換所の増設が地域独占を崩すことにつながるからだ。

 いわゆる「東東合併」もありうる。東電よりも東北電力の経営はさらに厳しい。復興費のみならず経営地盤の被災により、電気料金を回収することすら難しい状況が続くだろう。経営が悪化すれば東電との合併により両社とも大合理化を迫られるかもしれない。

 電力だけではない。ガス会社や石油会社を巻き込んだ総合エネルギー会社の誕生もありうる。世界の資源獲得競争が激化するなかで、国の資金を得ながらエネルギーの安定供給を担う企業があってもおかしくはない。

 いずれにせよ、東電や現在の電力体制がそのまま残ることはないだろう。原発ショックが一段落すれば、東電ひいては電力業界の解体、再編が始まるのは必定である。

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東京東部労組 : 東日本大震災に関する声明「経営者諸君、これ以上の災いを起こすな!」


 時事通信社配信記事によると、地震により被災していない地域での労働相談が急増しているという。内容を確認できていないので類推するしかないが、日本の基幹産業に対する部品供給基地地域と化している(労働賃金が他地域に比べ安いため)東北地方に点在する工場が直接的あるいは物流等の間接的問題により操業中止状態に追い込まれ、東北地方で作られた諸部品を使用する他地域の工場での生産活動に支障をきたしているこに、直接的には関係しているのだろう。
 それに加え、便乗型の解雇・休業により労働相談所に駆け込む労働者が非被災地で急増しているという。そのような中、「全国一般東京東部労組」より被災により家族・家屋を失った人々に対してのみならず、その被害を更に他地域まで広げようとする悪辣な企業・経営者に対して「経営者諸君、これ以上の災いを起こすな!」という内容の声明を発表した。以下同声明を全面掲載する。

全国一般東京東部労組執行委員会 東日本大震災に関する声明

2011年3月22日

経営者諸君、これ以上の災いを起こすな!

(1) 3月11日午後、東北地方太平洋沖で発生したマグニチュード9.0という国内観測史上最大の巨大地震は大津波を伴って東日本全域に甚大な被害をもたらした。死者・行方不明者は数万人規模にのぼる。被災地は今も電気・ガス・水道のライフラインが断たれ、食料、燃料、医薬品の欠乏にあえいでいる。それに加えて東京電力福島第一原発で爆発事故を引き起こし、大量の放射能が漏れ出すという最悪の事態を招いている。
 未曾有の大災害に対して、まずもって、われわれは被災者の命と生活を守るための支援活動をただちに開始したい。労働組合の基本精神は相互扶助、すなわち助け合いである。東部労組には「足を職場にすえ、胸に国を思い、目を世界に放て」というスローガンがある。自分のことだけを考えるのではなく、常に仲間のこと、社会全体のことを考える伝統と作風をわれわれは誇りにしてきた。
 何を実践し、何をしなかったかがあらゆる組織に問われている。組合員の皆さん、東部労組はよってたかっての団結で、飢えと寒さに苦しむ被災者を支えるために持てる力を投入しようではありませんか。

(2) 大震災以降、全国各地の労働者にリストラ首切りの嵐が吹き荒れている。すでに電力会社による計画停電など大震災を理由にした解雇の労働相談が相次いでいる。「非常事態」を口実にした便乗型の解雇も多い。3月20日に実施した通常の日曜労働相談でも28件のうち12件が大震災がらみの相談だった。今後、爆発的に増えるだろう。補償なき休業(自宅待機)命令や一方的な賃金カットなども頻発している。
 すべての経営者諸君に訴える。現在、生きるか死ぬかの瀬戸際に立っている被災者を社会全体でどう支えるのかが全国民に突き付けられている。そのただ中にあって労働者と家族の生活基盤の破壊という新たな災いを起こすことの重大な犯罪性を自覚すべきである。かつてない惨禍を前に経営者が取るべき社会的責任とは何か。それは正規・非正規を問わず、すべての社員の雇用と生活を守ることである。
 にもかかわらず、経営者が自分だけの利益と生き残りのために労働者に一切の犠牲を押しつけるならば、われわれ労働者は頭上にのしかかる災禍を払いのけるために団結を固めて敢然と反撃に立ち上がるだろう。
 全国の労働者の皆さん、大震災の影響で職場の問題が起きた時は、われわれ東部労組およびNPO法人労働相談センターに相談してください。

(3) 深刻な原発事故に直面する中、これまで原発の「安全神話」を垂れ流してきた日本政府、電力資本、官僚、御用学者らの責任を追及していかなければならない。地震や津波そのものと違い、原発事故は十分予測できた「人災」である。この期に及んで「千年に一度の津波に耐えたのは素晴らしい。原子力行政はもっと胸を張るべき」と吹聴している日本経団連の米倉弘昌会長は許しがたい。
 東京都の石原慎太郎知事による「(津波は)やっぱり天罰だと思う」との発言は万死に値する。撤回して済む話ではない。4月10日の東京都知事選に立候補を予定しているが、被災地の怒りと連帯して再選を阻まなければならない。
 原発については現在の災害復旧工事や日常的な保守点検作業などに下請け会社の労働者や日雇い労働者が送り込まれ、被曝の危険にさらされてきたことを忘れてはならない。われわれは原発(核)と人間は共存できないという立場をあらためて鮮明にし、これ以上の原発建設を許さないのはもちろんのこと、全国各地のすべての原発を廃止せよとの運動を強めていく決意だ。

(4) このような情勢下にあって各支部の職場で取り組んできた春闘はどうあるべきか。われわれは春闘そのものを断じて自粛するべきではない。むしろ大震災を契機にして経営者側からの攻撃が各支部の職場でも予想される。労働者の雇用と家族を含めた生活を守るために春闘を各支部で貫徹しよう。
 留意すべきなのは、職場での大衆闘争で大震災に便乗した労働条件切り下げを許さないことである。各職場で大震災の影響がどういう形で出ているかを労働者の中に入って調査し、労働者に犠牲を押しつける経営者のやり方に反対を呼びかけ、それらを春闘要求と交渉に積極的に盛り込んでいこう。

<当面の行動>
3月25日(金)19時  東部労組大震災支援アピール行動 JR亀戸駅前
3月27日(日)10時 大震災がらみ集中労働相談     青戸事務所
4月 1日(金)19時 東部労組大震災支援アピール行動 JR錦糸町駅前
4月10日(日)10時 大震災がらみ集中労働相談     青戸事務所以上

福島第一原発事故関連動画


レイバーネットTV特番「東日本大震災と福島原発事故」

3月18日東電本社前での抗議行動

映像は途中からですが久々に聴きごたえのあるアジテーションでした。

抗議の中で触れられている「フリーター全般労働組合」の「誰も殺すな 福島原発事故に関する声明」を以下に掲載します。

誰も殺すな

福島原発事故に関する声明

—グスコーブドリのいないイーハトーヴはいらない

「想定外の事態」。このひとことで、数万におよぶ人々の死が合理化されている。数十万の人々を放射能被害にさらし、なお数百万の人の暮らしを破壊し続けている人災、そう、繰り返し言うが最悪の人災が僅かこのひとことで合理化されている。

いま生じている事態は、なんら想定外のことではなかったはずだ。幾人もが、この事態を繰り返し予測し警告してきた。地震や津波被害にともなう原子力発電所の激甚事故、水素爆発も炉心溶融も放射性物質の大規模な飛散も、反原発運動や原子力の専門家のみならず、多くの人々が指摘してきたことである。

被害は折り込まれていたのである。

東京をはじめとする大都市のエネルギー消費を支えるために、地方に住む数百万の人々は放射性物質の前に曝し出されている。地方の人々の暮らしを壊すことで、沖縄電力をのぞくすべての電力会社は安定した利益を確保し続けてきた。このビジネスを成立させるために、地域独占を許し原発建設に有利な法制度をつくりあげ、各電力会社を支援してきた日本政府も当然の責を問われる。電力各社と日本政府はいまそのつけを支払わなければならない。

日本政府と東京電力は、まず何よりもいま、福島原発で取り組まれつつ隠されている労働のすべてを子細に公開すべきだ。たとえば冷却水注入作業のために、誰がどこをどのように走り、管をつなぎ、バルブを開けたのか。放射能に汚染された飛沫を誰がふき取り、ふき取ることを誰が命じているのか。これは英雄譚を作り出すためではなく、そこで働く人々をグスコーブドリにして褒め称える醜悪さを私たちが克服するための要求だ。「数千万の命を救う」ために自らは決してしない仕事を、原発労働者に求めるおぞましいまでの冷酷さから私たちは遠ざからなければならない。死を強制される労働の拒否こそ私たちは支えるべきである。

いま私たちは「原子力被災者」になろうとしている。各地の原発で生命を危険にさらして働いてきた人々、爆発事故に伴う被曝で今後長期間にわたる健康リスクに向き合わなければならない人々の被災がまずある。だが原子力被災はこれにとどまらない。福島原発の爆発は、今後長期にわたって東北地方の農業に打撃を与え、安全な食料の価格を高騰させるだろう。都市貧困層は確実に食の安全から排除される。原発の停止によって電力供給が不足し、輪番停電が実施されているが、それに伴う事業所の閉鎖や休業が相次いでいる。都市貧困層はこれによる失職と賃金カットに見舞われ購買力を低下させるだろう。私たちは被災者なのである。

日本政府と全電力会社はすべての原子力発電所を直ちに停止せよ。

人の生命を貪るビジネスから撤退しろ。

東京電力はすべての原子力被災者に補償せよ。

被曝したすべての人々に今後の全健康被害を回復するまでの医療費と生活費を補償せよ。

原発事故のために閉鎖や休業を余儀なくされたすべての事業者の売り上げを補填せよ。

失業や休業、賃金カットに追い込まれた人々の損害を補償せよ。

直接の被害を受けずにいるすべての人々に私たちは呼びかける。圧倒的な津波や火災のスペクタクル、圧力容器内の水位を伝える字幕の数々、御用学者の言う「直ちに健康被害はないレベルです」というコメント、これらの無限ループ映像に曝される日々から抜け出そう。この「情報被曝」は私たちに「祈るしかない」という無力感を作り出し、今回の事態に責任を負うべき者や制度をあいまいにする政府・電力会社の言いわけへの同意を作り出している。いっときも早く、この「情報被曝」による被災から回復し、責任者を名指し追及することが必要であると私たちは考える。

2011年3月17日

フリーター全般労働組合

東電記者会見 2011年3月19日18時45分

東電記者会見 2011年3月19日24時~

原子力資料情報室記者会見 2011年3月12日

破局は避けられるか――福島原発事故の真相 ジャーナリスト 広瀬隆


DIAMOND Online 2011/03/16日号

 


原発ジャーナリストとして著名な広瀬隆氏が寄稿した『ダイヤモンド・オンライン』2011/03/16日号の特別レポートです。以下全面転載。

2011年3月11日、東北地方三陸沖地震が起こって、福島第一原発1号機で格納容器内の圧力が異常に上昇し、そのあと建屋が爆発。続いて3号機も同じく爆発。さらに2号機は、格納容器内にあるサプレッションプール(圧力抑制室)が破損した。破損が進めば絶望的な破局に向かう。これと並行して、日本人の頭の上に大量の放射能放出を始めた。一体、何が起こったのか。

「想定外」の言葉を濫用する
電力会社とマスメディアの異常

津波そのものによる天災は、避けることができない。これは日本の宿命である。しかしこの悲惨な原発事故は人災である。それを起こした責任者は、電力会社だけではなく、これまで何もこの事態を警告をしなかったテレビと、テレビに出てデタラメを解説している専門家と呼ばれる大学教授たちである。

2011年3月11日14時46分頃、北緯38.0度、東経142.9度の三陸沖、牡鹿半島東南東130km付近、震源深さ24kmで、マグニチュード9.0の巨大地震が発生した。マグニチュードが当初8.4→次に8.8→最後に9.0に修正されてきたことが、疑わしい。原発事故が進んだために、「史上最大の地震」にしなければならない人間たちが数値を引き上げたのだと思う。これは四川大地震の時に中国政府のとった態度と同じである。

地震による揺れは、宮城県栗原市築館(つきだて)で2933ガルを観測し、重力加速度の3倍である。しかし2008年の岩手・宮城内陸地震では、マグニチュード7.2で、岩手県一関市内の観測地点で上下動3866ガルを記録している。今回より大きい。

NHKなどは「1000年に1度の巨大地震」と強調するが、この東北地方三陸沖地震の実害と、原発震災を起こした原因は、津波であった。では、津波の脅威は、誰にも予測できなかったものなのか。日本の沿岸地震では、ほんの100年前ほどの1896年(明治29年)の明治三陸地震津波で、岩手県沿岸の綾里(りょうり)では38.2m、吉浜(よしはま)24.4m、田老(たろう)14.6mの津波高さが記録されている。「想定外」の言葉を安っぽく濫用するなとマスメディアに言いたい。被害が出たあとに、被害を解析してくれても困る。事故後に、「想定できなかった」ということは、専門家ではない、ということだ。すべて私のごとき人間に想定でき、昨年8月に発刊した『原子炉時限爆弾』(ダイヤモンド社刊)に書いたことばかりが起こったのである。電力会社が「故意に想定しなかった」だけであり、想定しなかったその責任は、被曝者に対してきわめて重大である。

冷温停止に至っているのは
原子炉11基のうち3基だけ

 昨年のことから理解しておくべきである。昨年3月25日に、1971年3月26日に運転を開始した福島第一原発1号機について、東京電力は、この原発が40年を迎えるというのに、超老朽化原発の運転続行という暴挙を発表し、60年運転も可能だと暴言を吐いて、原子力安全・保安院がそれを認めた。これは福井県の敦賀原発・美浜原発に続く、きわめて危険な判断であった。さらに昨年10月26日、営業運転開始から34年が経過した老朽化原発・福島第一原発3号機でプルトニウム燃料を使った危険なプルサーマル営業運転に入った。

 福島第一原発は設計用限界地震が、日本の原発で最も低い270ガルで建設された、最も耐震性のない原発である。そこで今、炉心熔融が起こったのだ。福島県内には、70キロを超える双葉断層が横たわり、マグニチュード7.9が予測される。

 地震発生時の運転状況は、○福島第一1・2・3号機は運転中→スクラム(緊急自動停止)。4・5・6号機は定検停止中○福島第二1・2・3・4号機はすべて運転中→スクラム。制御棒が挿入され、核分裂反応は、全機が停止した。しかし……

 地震発生後、原発は「止める」「冷やす」「閉じ込める」機能があるので大丈夫だと宣伝してきたが、ほかの原発も含めて、自動停止した11基の原子炉のうち、原子炉内の温度が100℃以下で、圧力も大気圧に近い状態で安定した「冷温停止」に至っているのは、地震4日目の14日現在、福島第二原発3号機と女川原発1・3号機の3基だけであり、残り8基が迷走運転中である。

炉心溶融(メルトダウン)は
2800℃どころか、わずか600℃で起こる

 電気出力100万kW原子炉では、熱出力がその3倍の330万kWある。この原子炉では、原子炉自動停止しても、その後に核分裂生成物が出し続ける崩壊熱は、1日後にも、1万5560kWもある。またその発熱量がどれほど小さくなっても、永遠に熱を出し続けるので、燃料棒が原子炉にある限り、それを除去し続けなければならない。なぜなら、原子炉という閉じ込められた容器内では、熱がどんどんたまってゆくからである。

 それを除去できなければ、水は100℃で沸騰するから、水がなくなり、燃料棒がむき出しになる。そうなれば、超危険な放射性物質が溶け出し、燃料棒の集合体が溶け落ちる。それが炉心熔融であり、メルトダウンと呼ばれる。燃料棒の集合体が次々に溶け落ちると、炉の底にたまって、ますます高温になり、灼熱状態になる。やがて原子炉圧力容器の鋼鉄を溶かし、お釜の底が抜けると、すべての放射性物質が、外に出て行く。これが「チャイナ・シンドローム」と呼ばれる現象である。

 一方、燃料棒被覆管のジルコニウムが水と反応して酸化されるので、水素ガスを発生する。水素ガスの爆発限界は、最小値が4.2%であるから、この濃度になれば爆発する。

 原子炉の正常な運転条件は、福島原発のような沸騰水型では、280~290℃、70気圧である。従来は燃料棒の過熱温度が2800℃で炉心溶融が起こるとされていたが、スリーマイル島原発事故などの解析によって、実際には600℃で起こることが明らかになった(2009年7月6日~7日にNHK・BS1で放映されたフランス製ドキュメント「核の警鐘~問われる原発の安全性」)。NHKなどは、御用学者を動員して「史上空前のマグニチュード9.0」を強調しているが、建物の崩壊状況を見て分る通り、実際の揺れは、兵庫県南部地震(阪神大震災)のほうがはるかに強烈だった。この地震被害の原因は、揺れではなく、ほとんどが津波であった。

地球の動きがもらたす
「原発震災」が日本で現実化した

 福島第一原発では、地震から1時間後、15時42分に全交流電源が喪失して、外部からの電気がまったく来なくなった。あとは、所内の電源が動かなければ、何もできない状態である。ところがそこに津波が襲って、15時45分にオイルタンクが流失して、さらに配電盤などの配線系統が水びたしになって、内部はどうにもならなくなった。初めは炉心に水を注入するためのECCS(緊急炉心冷却装置)を作動したが、すぐに注水不能となった。非常用ディーゼル発電機はまったく作動しない。電気回路が大量の水を浴びて、配線系統がどうにもならない。コンピューターも何もかも、電気がなければ何もできない。

 このような所内電源と非常用ディーゼル発電機による電力のすべてが失われた事態に備えて、原子炉隔離時冷却系と呼ばれるECCSの一種がある。これは、炉心の崩壊熱による蒸気を利用してタービンを起動させ、ポンプを駆動して注水する装置である。しかし、これも制御機能が失われれば、駄目になる。

 そもそも、地震発生当初から、非常用ディーゼル発電機がまったく働かないというのだから、電源車が到着したかどうかに鍵があるのに、その最も重要なことについてさえ、報道されなかった。テレビの報道陣が、いかに原発事故について無知であるかをさらけ出した。

 そして1号機の原子炉内の水位がぐんぐん下がり始めた。非常用復水器と原子炉隔離時冷却系によって、何とか水位の復帰につとめたが、格納容器(ドライウェル)内の圧力が、設計上の使用最高圧力4気圧をはるかに上回る8気圧に達している可能性が高く、加えて、除熱ができていないので、水位が下がってゆき、4メートルの燃料棒の頭は、1メートル以上が水の上に顔を出した。

 格納容器の圧力が高まると破壊されるので、バルブを開いて、高圧になった気体を放射性物質と共に外部に放出する作業に入ったが、事故の経過を見ると、悲観的にならざるを得ない。しかしもうすでに、事故解析の原稿を書いている段階は過ぎたようだ。15日昼頃には、敷地内での放射能が通常の350万倍に達した。テレビでは、コメンテーターも政府もみな、微量、微量と言い続けた。ここまでくれば、みな、おそるべき犯罪者たちである。さらに2号機では、格納容器の破損が起こり、4号機では建屋内の使用済み核燃料のプールが沸騰を始めたという。ここには、原子炉より多くの放射性物質が入っている。作業者が近づけない場所であるから処理はおそらく不能であろうと、15日の午後5時時点で、私は推測するが、この推測が間違ってくれるよう祈っている。福島第一原発の6基のうち、1基がメルトダウンすれば、そこには職員がいられなくなる。すべてを放棄して逃げ出すだろう。あとは連鎖的に事故が起こる。

 この発電所には、全部合わせて、事故を起こしたチェルノブイリ原発の10倍を超える放射能があると思われる。あとは、この放射能が無害であると、政府と原子力安全・保安院と電力会社とテレビの御用学者たちは言い続けるはずだ。もし日本の国民が愚かであればそれを信じて、汚染野菜を食べることだろう。明日、すぐには死なないからだ。しかしかなりの高い確率で発癌することが分っている。子供たちを守れるのは、事実を知っているあなただけである。

『原子炉時限爆弾』で、私はこう書いた。
--「10年後に、日本という国があるのだろうか」と尋ねられれば、「かなり確率の高い話として、日本はないかも知れない」と、悪い予感を覚える。…(中略)…この先には、まったく報じられない、とてつもなく巨大な暗黒時代が待ち受けているのだ。その正体は、想像したくもないが、人知のおよばない地球の動きがもたらす「原発震災」の恐怖である。--と。
その通りになってしまったのだとすれば、悔やんでも悔やみきれない。

※大地震による原発災害の危険性を指摘した
『原子炉時限爆弾~大地震におびえる日本列島』
広瀬隆著/2010年8月/ダイヤモンド社刊

脱力系反原発アニメーション 『源八おじさんとタマ』


youtube rjtvoekptmi氏による脱力系反原発アニメーション『源八おじさんとタマ』の連作。

第一話
脱力系反原発アニメーション

第ニ話
脱力系反原発アニメーション『源八おじさんとタマ』待望の第二弾! 今回は、電力会社の広告塔と成り下がったカッパとタマが対決します。

第三話
脱力系反原発アニメーション第三弾。今回のテーマは放射性廃棄物です。源八おじさんは、今回から長袖になりました。

第四話
お待たせしました。脱力系反原発アニメーションの第四弾です。いよいよ今回から原発問題の本丸ともいうべき地震について考えていきます。まだまだ続くので、お楽しみに!

第五話
脱力系反原発アニメーション第五弾!今回のテーマは津波です。タマに襲いかかる最大の危機!果たしてタマの運命は?そして原発の運命は?

事故原発は“欠陥品”? 設計担当ら35年ぶり仰天告白


ZakZakロゴ2011.03.18 『事故原発は“欠陥品”? 設計担当ら35年ぶり仰天告白』記事より。

 既に緊急冷却用のディーゼルエンジンが耐水設計されていないとか、ECCSが多重化されていないなど、エンジニアリング的な観点からすれば、設計ミスと言うよりも素人設計にしか見えなかったが、それが設計者本人の口から裏付けられたわけです。以下同記事を全面引用

 自衛隊に警視庁機動隊、そして東京消防庁の特殊部隊まで巻き込むことになった空前の原発事故は、実は人災である可能性が浮上している。

 福島第1の原子炉は米ゼネラル・エレクトリック(GE)が開発した。そのGE元社員のデール・ブライデンボー氏はロイター通信の取材に対し、福島第1と同型の原子炉について35年前に安全面での不安を指摘していたと打ち明けたのだ。

 そのうえで同氏は「分析が終わるまで一部の原発は閉鎖されるべきだと思ったが、GE側は応じなかった。そのため、私はGEを辞めた」と、退社した経緯を説明した。

 米ニューヨーク・タイムズも、米原子力委員会の専門家が1972年、この原子炉は水素がたまって爆発した場合、放射能を封じる格納容器が損傷しやすいため、「使用を停止すべき」と指摘した、と報じた。

 今回、事故を起こしたのは「マーク1」という沸騰水型原子炉の一種で、60年代にGEが開発した。中心の燃料棒を圧力容器、さらにその外側をフラスコ状の格納容器で守っている。格納容器が小さく、設備建設費が安く済むため、計104基の原子炉が稼働している米国では同型の炉が23基も稼働している。米国外にも9基あり、計32基が現在も運転中だが、格納容器が小さいゆえに、水素爆発で損傷するリスクが高いというのだ。

 福島第1の原子炉はGEの設計図をもとに、東芝や日立製作所が関わって建設、運転されてきた。設計に携わった東芝の元技術者、小倉志郎氏(69)は16日、外国特派員協会の記者会見で驚きの証言をした。

 「(67年に)設計した当時は、津波は前提になかった。日本で事実上、初の原子炉設計だけに知識に乏しく、耐震設計基準についても判断できなかったと思う」

 小倉氏は福島第1原発の1、2、3、5、6号機の冷却部分などを設計した。その小倉氏によれば、津波の対応はその後、日本独自の設計で織り込まれるようになった。しかし、推定で最大10メートルとされる今回の大津波より「想定規模ははるかに小さかった」。また、地震の規模についても「マグニチュード(M)8・0以上の地震は起きない、と社内で言われた」とし、M9・0の巨大地震は想定外であったことを明かした。

 地震対策は「私の定年が近くなってやっと見直しをしたが、それでも大地震は想定しなかった。責任を感じる」と語っている。

 米メディアの報道と設計者の証言をまとめると、もともと事故時の危険が高い米国発の原発が、津波や地震のリスクを十分に考慮せず建設、運転されてきたことになる。前出のブライデンボー氏は今回の事故について、「マーク1型格納容器が、他の原子炉ほど地震や津波の負担に耐えられないことから(事故が)生じた」と分析している。

 福島第1原発の1号機が運転を開始したのは71年。40年もの間、周囲を巻き込む深刻な事故を起こさなかったのは奇跡だったともいえる。

福島原発の炉心溶融事故弾劾!


 福島第一原子力発電所のメルトダウン寸前に至る(そしてそれは現実のものになるかもしれない)事故に対する『東京電力』、及び民主党管政権の対応について私は怒りを抑えることができません。東京電力は「これは東北大地震とそれに伴う津波による自然災害」と、して自らの危機管理能力の欠如、いやむしろそれ以前に当事者としての責任感のなさを自ら暴露し、これだけの事故を起こしながら現地には一介の平常務を派遣し、言葉のみの「謝罪」を行っただけ。社長に至ってはこの事故以降、公に席に一度も顔を出すことなく自らの責任を回避することのみにやっきとなっています。
 そもそも福島第一原子力発電所は稼働後既に40年が経過し、廃炉が決まっていたにも関わらず「後20年は大丈夫」と耐久年数を無視した上で稼動させていたオンボロ原子炉でした。周辺自治体の首長から再三再四、初期計画通りの「廃炉要求」が出されていたにも関わらず、東電はそれを突っぱね、無理やり稼動していた代物でした。
 また計画当初から東北地方の太平洋沿岸地域が歴史的にも「津波」による被害を度重ねてきたことから、その安全性が疑問視され指摘されていたにもかかわらず「絶対安全。問題が発生した時は東電幹部が内部に入って対応の陣頭指揮をとる」と地元住民を誑かせて建設した曰くつきの発電所だったのです。それをいまさら「想定外の自然災害によるもの」などという東電の言い訳など通用する筈もありません。
 そうした怒りの中で、ネットを検索していたところ正に現在の自分の心情にぴったりの抗議声明を見つけましたので、それをそのまま掲載します。

福島原発の炉心溶融事故弾劾!

 「危機管理能力」を喪失した菅政権による大震災被災者の見殺しを許すな!

 三月十一日午後、宮城県沖で発生した大地震が超巨大な津波を惹き起こしつつ東日本全域を襲った。マグニチュード9・0(当初発表は8・8)と観測史上では日本最大・世界第四位のこの地震によって、宮城、福島、岩手をはじめとした東日本全域で実に数万人もの人々が死に追いやられ、悲痛な大震災がもたらされた。死を強いられた人民にわれわれは心から哀悼の意を表します。
 しかも、この大震災のただなかにおいて、東京電力福島第一原発の1号機・3号機とあいついで炉心溶融・建屋(たてや)の水素爆発が惹き起こされ、大量の放射性物質が空中にまき散らされるという大事故が発生した。さらに三月十五日午前六時十分、同原発2号機が二度の空だき状態におちいった後、ついに原子炉格納容器の一部に爆発が起こりサプレッション・プールが損傷、高濃度放射性物質が漏出する非常事態にたちいたっている。
 それだけではない。三月十五日午前九時三十八分には、定期点検中の福島第一原発4号機において水素爆発・火災事故が発生した。午前十時二十二分には、3号機付近に飛び散った4号機建屋の壁材から毎時四〇万マイクロシーベルトという、白血球が大量に損傷するほどの高い放射線量が観測されたのだ(十五日午後三時の時点において政府・東京電力ともにこの放射線量の原因を発表していない)。
 日本では初めてのこれらの原発炉心溶融事故こそは、〝地震国〟日本における原子力発電の危険性をこのうえなく浮き彫りにした大事件にほかならない。
 今回の原発大事故は、大地震・大津波を直接の引き金としたとはいえ、だが〝天災〟では断じてないのである。そもそも、地震多発地帯であり巨大津波の襲来が過去の事例からしても十分に予想されてきたにもかかわらず、東電資本家は「想定外の事態」などと居直りを決めこんでいる。ここに、津波対策を基本的に無視・放棄し地震対策をなおざりにしてきた東電資本家の犯罪が露出しているではないか。
 わが同盟は、地震対策・事故対策をなおざりにしながら「安全性」神話をたれ流してきた日本の電力資本家・原発プラント製造資本家どもと歴代政権の犯罪性をつとに暴きだし、原子力発電の危険性に警鐘を乱打してきた。まさにいま、この原発の危険性が、未曽有の大震災のただなかで最悪のかたちで満天下にさらけだされたのだ。もはや許しがたい。すべての原発をただちに停止せよ! 今こそすべての労働者・人民は居直る政府・独占資本家どもに怒りを叩きつけ、原発反対の闘いのうねりを巻き起こそうではないか。
 菅政権は東電・東北電力資本家どもとともに、原発炉心溶融・放射性物質漏れの実態をおし隠しつづけている。そして、この原発大事故対策のみならず大震災全体への対策においても後手後手の対応しかなしえず、被災した数百万人もの人民をまさに見殺しにしているのだ。絶対に許せない! すべての労働者・人民はこの菅政権に怒りを叩きつけ、被災した人民を救援・支援しようではないか。われわれはすべての労働者・人民とともに奮闘する。

すべての原発をただちに停止せよ

 東電福島第一原発の2号機に発生したサプレッション・プール(原子炉格納容器に直結している圧力抑制室――左下図)の損傷、これは格納容器そのものに何らかの損傷が発生している
と推測しうる非常事態にほかならない。炉心溶融がいよいよ進行しているとともに、圧力抑制室の損傷によって大量の高濃度放射性物質が空中にばらまかれ飛散しているのだ。労働者・人民は、大地震・津波による被災のうえに、さらに原発大事故による大量の放射性物質汚染の恐怖に今やさらされている。


福島第一原発2号機の内部構造

原子炉格納気が損傷した福島第一原発2号機の内部構造


福島第一原発

水素爆発を起こし建屋が吹き飛んだ福島第一原発。白煙状の湯気を吹き上げているのが3号機(中央)、左下が12日に建屋の吹き飛んだ1号機(3月14日午前11時すぎ)


 福島第一原発1号機での原子炉建屋の水素爆発(三月十二日午後三時三十六分)、同3号機での建屋の水素爆発(十四日午前十一時一分)、そしてついに同2号機での圧力抑制室(原子炉格納容器)の損傷。……あいついで発生しているこれらの事故は、炉心溶融(メルトダウン)のゆえであり、日本の原発事故のうちでも史上初の最大最悪のものにほかならない。〔4号機の使用済み核燃料貯蔵施設において水素爆発・火災が発生したのは、4号機建屋の四~五階に設置されていた使用済み核燃料を冷却するプールに冷却水を供給するポンプが停止し、プルトニウムなどを含む使用済み核燃料が高熱を発したからにほかならない。〕
 これら一切の原因は、非常用ディーゼル発電機が津波を被って損傷したことだ。非常用発電機がまったく動かせなくなったことによって緊急炉心冷却装置が作動しなくなり、その結果として原子炉圧力容器内の水位が急速に低下し、炉心にある核燃料の集合体が水中から露出した。この状態が続いたことによって核燃料集合体の温度が二八〇〇度まで急上昇し、ついに核燃料を覆うジルコニウム合金が溶けはじめる。いわゆる炉心溶融事故が惹き起こされたのだ。――原子炉格納容器・抑制室をぶ厚いコンクリートと鉄筋で覆う建屋を一瞬で吹き飛ばした1号機・3号機の水素爆発は、燃料棒を覆うジルコニウム合金が加熱され、ジルコニウムが水と反応して大量の水素が発生し、これが配管などをつうじて格納容器の外に漏れだし建屋内にたまっていたことによる。2号機の事故は、炉心内の冷却水じたいが払底し炉心溶融が進行したことによって、ついに炉心(原子炉圧力容器)の底に損傷が生じるにいたったものと推測しうる。
 これほどの大事故・非常事態におよんでも、東京電力資本家と菅政権は事故の実態・放射性物質汚染の実態を明らかにせず、炉心溶融の「可能性」を渋々と認めているにすぎない。菅政権は「国民がパニックにおちいらないように」とうそぶきながら、事故の実態を情報開示せず、情報統制・情報隠しをつづけている。緊急事態応急対策拠点施設に陸上自衛隊の中央特殊武器防護隊(大宮)を送りこんではいるものの、もっぱら情報収集にあたらせているだけで、海水を炉心冷却用に注入する作業に全面的に動員してはいない。同部隊のポンプ車二台のみをもって注水作業にあたらせているものの、建屋水素爆発などが発生するたびに作業を中断している始末なのだ。
 いまや、あいついで発生し進行している炉心溶融事故にたいして、東電資本家と菅政権は泥縄的・断続的に海水注入をつづける以外には何らの対応策もなしえず、対応不能におちいっている。まさしく「危機管理能力」の欠損・喪失を満天下にさらけだしているのだ。東電資本幹部は「想定外の事故」であるとの言辞を弄し、あたかも大地震・大津波による〝天災〟であるかのように言い放ち居直っている。菅政権もまた同様なのだ。
 だが、わが同盟が、そしてまた多くの良心的学者たちが、これまでもつとに警鐘を乱打してきたように、日本の電力資本の運転している原発においては大地震対策・大津波対策がすべてお座なりにされているのである。とりわけ津波を被って非常用ディーゼル発電機が故障し炉心冷却が不能となったことに起因する今回の福島第一原発炉心溶融事故は、津波対策の欠損・お座なりぶりを如実にさらけだしたではないか。「想定外」などという東電幹部と菅政権の放言・居直りは、そのことの逆証明ではないか。もはや絶対に許しえない。労働者・人民は東電資本・原発プラント製造業資本(東芝、日立、三菱重工などの重電重機資本)と菅政権に怒りを叩きつけよ!
 そもそも、東電福島第一・第二原発、東電柏崎刈羽原発、東北電力女川原発、中部電力浜岡原発をはじめとして、日本の原発施設のほとんどが〝地震多発地帯〟に設置されている。海底で太平洋プレート、ユーラシア大陸プレート、北米プレート、フィリピン海プレートが複雑にひしめきあい、地震・津波が多発する地帯に、原発が設置されているのだ。それにもかかわらず、電力資本・重電重機資本の資本家どもと歴代政権は、今回のような巨大地震・巨大津波の起こる可能性をまったく想定せず、地震対策を、とりわけ津波対策をなおざりにしてきたのだ。
 すでに二〇〇七年に新潟県中越沖地震の直撃を受けて東電柏崎刈羽原発が全面機能停止におちいった事態において、〝地震国〟日本における原子力発電の危険性がまざまざと浮き彫りにされた。そのさいにも東電資本家と自民党政府は「原因は変圧器の火災。原発の安全性設計構造に問題はない」などと居直り、地震対策の不備をおし隠してきたのだ。
 今回、福島第一原発1号機・3号機で炉心溶融事故が生起し建屋水素爆発が発生したにもかかわらず、東電資本家は圧力容器そのものには損傷はない、放射性物質漏出も人体に大きな「影響」を与えるほどのものではない、と強弁している。菅政権もこれを鵜呑みにしている。だが、果たしてそうなのか。その言のウソッパチさは、圧力容器そのものに損傷が生じたと推論しうる2号機の大事故そのものが証明しているのではないのか。
 1号機は一九七一年の運転開始以来すでに四十年におよぶ老朽化したプラントである。同じく老朽化した3号機(一九七六年運転開始)は、発電用にプルトニウムを濃縮ウランに混合したMOX燃料を使用するプルサーマル運転という実に危険な発電に使われている。もともとは三十年を耐用年数とされてきた設計基準が自民党政権時に四十年以上に改悪され、それによってこうした老朽プラントの運転が継続されているのである。日本の各原発の多くがすでに老朽化しており、それを一因として種々の事故が惹き起こされているのである。実に危険きわまりないのだ。
 政府と電力・重機資本家どもが垂れ流してきた「日本の原発技術は世界一」「原発は安全」などという神話は、東日本大震災のただなかでの今回の福島原発炉心溶融事故によって、完全に崩落した。政府・電力資本はすべての原発をただちに停止せよ! 情報隠しに狂奔し周辺住民を放射能にさらし生命をおびやかす菅政権を絶対に許すな! トルコ、ベトナムなどへの「官民一体」での原発輸出を許すな! すべての労働者・人民は今こそ原発撤去の闘いに決起しよう。わが同盟はその先頭で奮闘するのでなければならない。

菅政権による被災人民見殺しを許すな

 菅政権は原発事故対策において泥縄的対処に終始し無能をさらけだしているだけではない。空前の大震災への対策においても「危機管理能力」の喪失を全面的にさらけだし、被災した数百万人の労働者・人民をむざむざ見殺しにしているのだ。
 巨大地震・巨大津波の発生直後から菅政権は後手後手の対応に終始している。そもそも、巨大津波の襲来によって、宮城、岩手、青森にまたがるリアス海岸地帯の市町村、そして遠浅の海がつづく宮城、福島の市町村がいずれも壊滅的打撃を受け膨大な犠牲者が生まれることは、直後から予想しうる。政府としてはまずもって日本国軍の情報通信網を駆使し偵察機をフル動員して各地域の震災被害の実態をつかみとるべきなのだ。にもかかわらず菅政権は、政府・日本国軍・各県自治体当局・警察を統合しての情報連絡網をただちに設置していない。いや、なによりもまず政府直轄の震災対策本部を前線に設置し菅首相みずからが現場指揮をおこなうべきであるにもかかわらず、菅はのほほんと首相官邸にふんぞりかえっている始末なのだ(一度、ヘリでお座なりな視察をおこなっただけ)。現地での対策は基本的には各県自治体当局および県警に任せ、政府・首相官邸は原発大事故にかんする情報統制・情報隠しに躍起となっているだけなのだ。――しかも、原発事故対策において、政府と東電の統合対策本部を設置したのも三月十五日と、地震発生後なんと五日もたってのことなのだ。
 菅政権は日本国軍を――遅ればせながら――災害対策・被災人民救助に動員したとはいえ、それも最初は五〇〇〇人、次に二万人、五万人、一〇万人と〝小出しに〟増派してきたにすぎない。しかも、動員された日本国軍は、ヘリで各地の空中をグルグルかけめぐり、発見した被災者を空中から吊りあげ救助しているのみなのだ。救援物資の投下・供給もお座なりにしかやっていない。なによりも道路・鉄道・情報通信網がズタズタに分断され孤立した各市町村の被災人民に水・食料・燃料・寝具・医薬品などの救援物資を大量に供給するべきであるにもかかわらず。
 しかも、地上から被災地に派遣された日本国軍の部隊も、気象庁が「津波がまた発生する」という情報(誤情報もある)を流すやいなや、あたふたと逃げだす始末。まさにブザマな姿をさらけだしているのだ。
 菅政権は被災者(死者)の人数にかんしても、最初は数百人、次に二〇〇〇人、そして「行方不明者」数万人と、徐々に増やす方向で発表している。阪神・淡路大震災(一九九五年一月)のさいに、時の村山「自・社・さきがけ」連立政権が死者・犠牲者の人数を〝小出し〟に発表したこと――これが救援の遅れ・大失敗を招いたという〝教訓〟があるにもかかわらず。
 台湾中部地震のさいに時の台湾・李登輝政権は、この阪神・淡路大震災の〝教訓〟を活かして、一〇万人の軍隊を被災地に派遣し、パラシュート部隊を大量に投下させて大規模な救援を一気に遂行した。これに比して、菅政権は〝教訓〟を何ら活かさず後手後手の対応・対策を泥縄的に講じているにすぎないのである。菅本人は、未曽有の「国難」の突破を口では叫んでいるものの、この東日本大震災によって与党内および与野党間の権力抗争が当面〝休戦〟となり、己れの首がつながったことに内心ではほくそ笑んでいるのだ。被災し家も家族も喪い絶望にくれている人民の底知れぬ苦悩に思いをはせることもなく、である。
 こうした菅政権の対応こそ被災人民を見殺しにする犯罪いがいのなにものでもないではないか。こうした政府の対応・対策のゆえに、被災した数百万人もの労働者・人民は、いまなお各地域での孤立を強いられ、冬の寒空のもとで救援物資の絶対的不足によって飢えを、いや死を強いられている。そのうえに、大火事などの二次・三次の連鎖災害をこうむっている。さらに、東電原発事故による放射能汚染の一挙的拡大という恐怖にさらされている。
 まさに菅政権は、大震災対策・原発事故対策においても反人民的本性をむきだしにしているのだ。今回の東日本大震災・福島原発大事故によって日本帝国主義経済も甚大な打撃を受けている。大震災対策としての「復興・支援」にかんする財政支出の一挙的増大、これによる国家財政赤字の膨張を口実として菅政権は消費税大増税やその他の増税を強行する策動にうってでるにちがいない。われわれはこうした菅政権の策動を絶対に許してはならないのだ。
 「危機管理能力」を喪失した日本政府による被災人民の見殺しを許すな! 菅政権は被災者をただちに救出せよ! 被災人民を放射能にさらす菅政権の犯罪を許すな! 今こそわれわれは、被災人民と固く連帯し、菅政権弾劾の闘いに決起するのでなければならない。
(二〇一一年三月十五日)

革命的共産主義者同盟革命的マルクス主義派・機関紙「解放」第2160号より。